【短編】中学時代好きだったあの子から、5年越しにLINEが来た


『次はさざ波公園前~、さざ波公園前でございます』

俺はオレンジ色のポールに取り付けられた『とまります』ボタンを押し、コートのポケットから財布を取り出した。

小銭を確認していると、ゆっくりとバスが停車した。

バスの運転席の横の小銭入れに乗車賃をじゃらじゃらと入れ、発車していくバスをなんとなく眺めていると、ポケットの中のスマホの振動で我に返った。

『深見菜音 今着いたとこ。待ってるね』

髪型が崩れるのもおかまいなしに、顔面にスマホを押し付けて悶絶していると「あのおにーさん、なにやってるのー?」と無邪気な女児の声が聞こえてきた。

「こら、見ちゃだめよ」

母親の冷静な声に我に返った俺が、顔面からスマホを離す。

ピンク色のダウンを着たツインテールの女児が純真無垢な瞳で俺をまっすぐ見ていた。

母親に手を引っ張られながらも、女児の瞳は俺をロックオンして離さない。

母娘(おやこ)が曲がり角を曲がったのを確認し、俺はようやく公園に足を踏み入れた。



【Reunion】 リユニオン
再会。離れていた人々が、再び顔を合わせること。
時間や距離を越えて、かつてのつながりが結び直される瞬間。