『次はさざ波公園前~、さざ波公園前でございます』
俺はオレンジ色のポールに取り付けられた『とまります』ボタンを押し、コートのポケットから財布を取り出した。
小銭を確認していると、ゆっくりとバスが停車した。
バスの運転席の横の小銭入れに乗車賃をじゃらじゃらと入れ、発車していくバスをなんとなく眺めていると、ポケットの中のスマホの振動で我に返った。
『深見菜音 今着いたとこ。待ってるね』
髪型が崩れるのもおかまいなしに、顔面にスマホを押し付けて悶絶していると「あのおにーさん、なにやってるのー?」と無邪気な女児の声が聞こえてきた。
「こら、見ちゃだめよ」
母親の冷静な声に我に返った俺が、顔面からスマホを離す。
ピンク色のダウンを着たツインテールの女児が純真無垢な瞳で俺をまっすぐ見ていた。
母親に手を引っ張られながらも、女児の瞳は俺をロックオンして離さない。
母娘が曲がり角を曲がったのを確認し、俺はようやく公園に足を踏み入れた。
【Reunion】 リユニオン
再会。離れていた人々が、再び顔を合わせること。
時間や距離を越えて、かつてのつながりが結び直される瞬間。



