数分歩いて駅に到着し、さざ波公園の最寄り駅方面の3番ホームに降りる。
遮蔽物が何もないホームに、冷たい風が容赦なく吹き付けて、俺の髪やコートを揺らす。
間もなくやってきた各駅停車に乗り込み、空いている席に座る。
車内は、うっすら汗ばんでしまうほど暖房が効いていた。
ちんたら走る電車に、がたん、がたん、と揺られながら、車窓に流れる景色を無感情に眺めていると、コートに入れていたスマホがぶるっと震えた。
スマホを手に取って確認すると、クーポンをもらうために友達登録した服屋の公式LINEが届いていただけだった。
ため息を呑み込んでポケットにスマホをしまうと、ちょうどそこで電車が止まり、ちらちらと客が乗車してきた。
僕の2m左に、ミルクティー色の長い髪を芸術品のように丁寧に巻いた女の人が座ってくる。
甘ったるい香水の香りが、俺の鼻腔を擽った。
記憶の奥底にある深見菜音の石けんのような香りとは正反対のそれに、思わずくらりとしてしまった。



