『悠斗くん?よかった、出てくれて』
スマホのスピーカーから流れた声に、俺は危うくスマホを落としそうになった。
「ふ、深見さん?」
『うん。今日、さざ波公園に来てって言ってたのに時間決めてなかったから、今から決めよ』
深見菜音の言葉で、俺は壁掛け時計を確認する。もうすぐ6時だ。
『わたしは予定ないから大丈夫だけど、悠斗くんは?』
「あ、うん!全然いつでも大歓迎!」
現在の俺の状況だったら、どんな予定があってもキャンセルするだろう。
『じゃあ、10時くらいで。さざ波珈琲店の近くで待ってて』
ぷつっと通話が切れ、リビングに沈黙が満ちる。
「うあぁ…」
奇声を挙げながらスマホを握りしめ、ソファにぐりぐり顔を埋める。
家具独特のあの匂いで我に返った俺は、ソファから跳ね起きて洗面台に向かった。



