中学時代好きだったあの子から、5年越しにLINEが来た


「いっててて…」

首の激痛で目が覚めて、我に返る。

あろうことか、俺はこの大事な日に、ソファで寝落ちしてしまった。

手探りでスマホをつかみ、時間を確認する。

スマホの画面には、5:30の時刻表示。こんなに早く起きたのは、俺の人生で前にも後にもないだろう。

俺は眠い目をこすってソファから離れ、なぜか玄関に放置されていた白いレジ袋をつかむ。

中には、化粧水、リップクリーム、ワックス。

レジ袋片手に洗面台に向かい、あの女性店員に教えてもらった戦利品たちを並べてみる。

とりあえず化粧水のボトルをつかみ、ボトルの裏側に書いてある使い方を確認する。

『適量を手のひらに出し、顔になじませてください』

――適量ってどれくらいなんだよ。マスカット一粒大とか、例を示せよ。

どれだけ考えても俺には化粧水の適量はわからないので、とりあえずボトルのふたを開けて化粧水を手のひらに出した。

ただの水のような感覚で心許(こころもと)ないが、これを顔になじませればいいらしい。

頬に化粧水を乗せると、冷たい感覚に思わず肩が跳ねた。

余った化粧水をなんとなく足に塗り、鏡に映る自分の顔を確認する。

ぼさぼさの髪や顔立ちは変わっていないが、肌つやがいいだけで印象が大きく変わっているように感じた。

リップに手を伸ばすと、リビングに置いていたスマホの着信音がほのかに聞こえてきた。

リップを持ったままリビングに向かい、特に考えずに応答ボタンを押す。