徒歩圏内にある24時間営業のドラッグストアに入ると、真昼のような明るさが俺を迎えた。
Googleで【男子大学生が垢抜けるために必要なもの】と検索すると、画面にずらりとウェブサイトが表示される。
ヒットした一番上のサイトをタップし、画面をスクロールしていく。
洗顔料、クレンジング、化粧水・乳液、日焼け止め、全身シェーバー、ヘアアイロン、ワックス、ヘアオイル・ヘアミルク、デオドラントクリーム…
ものすごい量の『垢抜けるために必要なもの』に、くらりとめまいを覚える。
ドラッグストアにヘアアイロンやシェーバーは売っていないので、買えそうなものから手を付けてみることにした。
まずは化粧水・乳液を買ってみよう。
自分にそう言い聞かせてスキンケアコーナーに来てみたが、ずらっと並んだ化粧水たちの中から1つを選ぶなんて不可能だ。
俺は再度スマホを取り出し、【化粧水 おすすめ ドラッグストア 安い】と検索をかける。
「ハトムギ化粧水…?アクアレーベル?…は?」
聞きなれない文字列に、思わず首をかしげてしまう。
商品棚の前で右往左往していると、「お客様…何かお困りでしたらスタッフにお声がけください…」と、後ろから控えめな声が聞こえてきた。
振り返ると、低い位置で髪を一つに束ねた小柄な女性店員が、困惑の滲んだ営業スマイルを浮かべていた。
「あーいや…」
大丈夫です、と言いかけた俺の脳内に、女性店員の『何かお困りでしたらスタッフにお声がけください』という声がリフレインする。
「…あのー、初心者におすすめの化粧水とかリップクリーム教えてください!」



