深見菜音からの連絡を受けた俺が、ウハウハモードで部屋をうろちょろしていると、テレビ台の角に足の小指が激突した。
「…っつー、いって…」
その痛みで我に返った俺は、ローテーブルに置きっぱなしにしていたノートパソコンを閉じて洗面台に向かった。
三面鏡に映った自分の姿に愕然とする。
高校の修学旅行で買った『働きたくない』Tシャツに、てろんてろんの黒いジャージ。
ずぼらに生えた無精ひげに、かさついた唇。
――こんなんじゃ、到底無理だろ。
朝起きて大学に行き、ファミレスでバイトをして、時にはサークルの仲間と遊び、家に帰る。
家、大学、バ先の往復だけで生きている大学2年生の俺には、見た目を整えるという概念が存在しない。
しかし、中学時代の片想い相手にこんな無様な姿を見せたくはない。
俺はリビングに戻って、ソファに置いていた白パーカーに黒いズボン、黒いダウンを羽織って鍵とスマホをポケットに入れて外に出た。



