「そしてある日相談があるって言われて一緒に飲みに行ったんだ…。夢と彼女で悩んでるって言って…。」

“彼女で”の部分で店長は私を見た…。
雪ちゃんもさすがに、ただならぬ空気を感じ黙ったままでいる。


「夢は“日本武道館でライブだ”って目を輝かせて言ってたよ。あと“彼女を幸せにしたい”ともな。ところが2年前からパッタリ姿を見なくなった…。あいつは黙ってどこか行く性格じゃない…。飲んだ後、また近い内報告しますって言って別れたんだ…。」


そう言って煙草に火を点ける。大きく吸って、ふぅ〜と煙を吹き出す。


「…彼女ってあなただろ?朱美さん…。この曲は健児が彼女に宛てた物だ…。健児に何があった…?ずっと俺も気になってたんだ。」


そう言ってもう一回ふぅ〜っと煙を吹き出す。狭いバックは途端に煙草臭くなる。