急に風が強く吹いたかと思うと、懐かしい声がどこからともなく聞こえた。


「…どうしたの?」


頬にキスされビックリ顔だった研二さんが、わたしの頬をつたう涙を拭う。


「…ううん。嬉し涙。」


笑顔でそう返す。






気のせいかもしれないけど、わたしには聞こえた。
健児さんの声。










「ねぇ…約束して?」


「うん?」


「ずっと…側に…わたしの側に居てね。」


「約束する。」


「ずっとだよ…。」


「ずっと。」


研二さんはそう言うと、わたしを抱き締め、今度は研二さんからわたしに優しいキスをした。












明るくなり始めた駅前。
強く吹いた風に、言葉を乗せた。