ギターの音色が止まり、駅前が静かになる。白い息が2つと白い煙が空へ吸い込まれている。


「もう1曲聞いてください…。」


閉じてた目を開いて、上を空を見て口を開く研二さん。


私はただ横で研二さんの横顔を見てるだけ…。


「この曲は…朱美さんに宛てて作った曲です。俺の想いです。朱美さんが居る時に歌いたくて。」


そう言って、少しハニカミながら急にこっちを向く。急に目が合うから、びっくりして目を逸らす。


私が煙草に視線を移してる内に、ギターが鳴り始める。武道館ライブの最後に歌った曲…私へ送ってくれた曲だった。




私は黙って研二さんの歌を聞いていた…。


肩越しに伝わる研二さんの体温を感じながら…。


白い煙の先の空を、健児さんを見ながら…。