研二さんが歌い終わり、お辞儀をすると今日1番の歓声と拍手。わたしも涙でぼやける研二さんに向けて、精一杯の拍手をした。


「朱美さん、よかったね。」


少し涙ぐんでる雪ちゃんが話し掛ける。


「ちょっと雪ちゃん、今は見ないで…涙でボロボロだから。」


「大丈夫だよほら…。」


「…え?…本当だ。」


雪ちゃんが隣にいる店長をそっと指差す。涙を拭きながら、指の先に居る店長に目をやると、わたしより号泣。


「…研二よかったぞ…。」


独り言のようにそう呟きながら、泣いていた。


「ちょっとしっかりしてよ!賢ちゃん!」


「…ぐへっ!」


雪ちゃんが店長の脇腹にパンチを入れる。ちょうどいい所に入ったらしく、悶絶する店長。


そんな2人の様子を見て、ついつい笑ってしまう。