「ありがとう!」


そう雪ちゃんに言って、ポケットにストラップをしまった。



バックルームを出ようとする俺に、雪ちゃんがまた声をかける。



「絶対、朱美さん来るから!!」



振り返って雪ちゃんに微笑み、店を出た。



店の前には社長の車が止まっていた。
コンビニから出てきた俺に気付き、ギターを持って俺に近付く。



「告知しないのに、よく集まったなぁ…」



商売道具を俺に手渡し、駅前の人混みを眺めながら言った。



「そうですね。社長のお陰です。」



そう笑顔で返す。
社長も微笑み、俺の肩を叩く。



「お前の好きな人もこの中に居るといいな…」

「…居ますよ。」



俺の答えに驚く社長に、ポケットからストラップを取り出し見せる。