太陽神は、ミウロの様子を眺めていた。太陽神は、地球の頃、ミウロに力を貸していた神の一人だった。
さきほど、すっとぼけてミウロの前を素通りしていった炎の剣をよこした本人でもある。
『先ほど、スッとボケて、すっと素通りした炎の剣よ。もうスッとするな!スッと!』
『何か用ですか♩』
炎の剣がどこからかスッと現れる。そう、またもやスッと現れたのだ。
『ミウロたちを炎の空気へ溶け込む力を使って、なんとかなるという風にしてはくれぬか』
長い白ヒゲを撫でつつ、太陽神が頼む。炎の剣は、その頼みを飲んだのか飲んでないのか『フンオンオン♩』と歌う。
『今や、ナーフフィア星は宇宙でも話題になりつつありますもんねー、いやぁ、それでもってその話題が、ミウロ君たちで・・・とかですっけ♩』
『そんな無駄話はよせ。吾輩は、新たなる伝説をこの星でも残しておきたいのだよ。だからこうして貴様を呼んだのだ。お宝倉庫の隅で転がって寝ていた貴様を。どうだ、ここは一つ創造神アルのためになりたくはないのか?
吾輩の命(めい)を通して、お役に立てると思うが』
『そういうことならやりましょう!ではいってきまーす!』
そういうことで炎の剣は、再び神界からナーフフィアの地上界に降りていったわけだ。
ほら、一二の三!
ドカン!
ミウロの目の前に再び炎の剣が地面に向かって、地面に勢いよく突き刺さるように華麗に舞い降りてきた。
『わざ、覚える?』
「さっきの素通りした炎の剣じゃないか。どうしたんだ?」
『君をーーーーーーーーー、
き、君をだ。
君をだあああああああああああああああああああ!
――い、いいずら」
「おい!」
『いやいや、実を言うと』
炎の剣は刃をさらに赤くさせて、黙ってしまった。
「実を言うと?」
『わ、わらくしは、ハッハー!!!』
ぐるんぐるんと炎の剣が今度は宙に浮いて、照れ隠しにかミウロの前で回り続け始めた。
『ハンハン♩ハハーン♩』
炎の剣はスーッとミウロの前にくる。
『さあ!わらくしを手にお取り!』
『使命を果たすお手伝い!わらくしが力になります♩』
「そうか、ありがとう。でも、もういいぞ」
『へ?』
炎の剣は、後ろを振り返った。と言っても振り返っても特に変わりはないが。さて、後ろを振り返った炎の剣は、『ドワッフィー!!』と奇声を上げた。
その炎の剣が見たのは、泡をふいて気絶しているザンだった。頭には木の棒をくっつけて。
ユーは、護り鳥のところへ来ていた。森の木々は雪を被り、ツララを並べていた。ユーは一本目立つ木の真下で叫ぶ。
「おーい!まーどーりーーー!!!」
『おらは、ま・も・り・どーりーー!!!』
「実は、間取りっていう家の中の仕切りでしょー!?」
『おらは、鳥だあああああっ!翼のある鳥だあああああっ!』
護り鳥が、バタバタと羽をばたつかせ、下に降りてきた。すると、そのあとのこと、
「うわあー!」「オラオラオラアアアア!」
ミウロと壊れ気味のエルが二人同時に空から落ちてくる。しかも、ものすごいスピードで。
「オラア!」
ドオオン、すごい地響きがして煙が立ち込める。その煙が晴れた時、エルはいかつい顔で、自由の女神のように片腕を上げてーーというか、片腕を地面に突っ込んで、スーパーマンポーズをしていた。
ミウロはというと、地面に突っ込みすぎて、片足しか地面から出てなかった。
「ちょっと!あんたたち、何目立ってんのよ!」
「それより、助けろや!オラアアアア!」
「はいはいっと」
ユーはエルとミウロの足をそれぞれ引っ張って、軽々しく体を引き上げた。ら、勢いありすぎて空まで舞い上がった。
「わあっ!」「ノウッ」
たんっと華麗に地面に直立して立つエル。両腕を上げている。ミウロは、しりもちをついた。
「あのぅ、ここが護り鳥様の家ですよね?」
14歳くらいの少女が来た。寒いからかダウンコートを着ていた。護り鳥はその少女の登場に、心がウキウキしてくる。
『おうおう!こちらカブもカブをも!会社のカブロウでございます。温かいものをもらいにきたんだね?』
「そうです。最近になって必要になってきたので」
『なら、はい。お駄賃も払ってね』
「ありがと・・・。ってええ!?」
少女は、温かい空気を作り出す丸い翡翠と、腹巻きでのけぞった。少女は、恐怖を隠せない。
「腹巻き、怖いです!いりません!」
目を逸らして、腕を伸ばして、少女はめいいっぱい拒否する。
「この国を雪の世界に閉じ込めたのは、腹巻きを持っている人がいるからだと、偉い方がおっしゃってましたし・・・」
『そうだね。それは知ってるよ。ただ一つなんだ。この国を冬に閉じ込めた腹巻きてのは』
「人生計画て知ってる?」
エルが口を挟んだ。
『おう、おらを誰だと思っているんだい。護り鳥だよ?まもまもの護り鳥さ。そんなの常識さ。
生まれてくる前にいる世界で立ててくるのだろう?
君の人生計画も見抜けるよ』
「その人生って、どういうものでしょうか」
『そうだね、君は君の課題を解決するための人生だろうよ。ま、そういう意味で言えば、この国の真冬化も人生計画として、みんなに出てきているのだとは思うけど』
それを聞いた少女は、少し勇気が湧いたのか「それなら!」と切り出す。
「私、その人生計画とやらの課題を解決したいです!まどりさん!私も協力します!」
『あー、まどりじゃなくて、護り鳥ね。いいよ、ありがとう。協力しようと思い立ってくれて』
「僕も協力するぞ!」
「オイラも!」
「うちも!」
ミウロたちも声をあげる。そしてミウロは、アル神に言われた「信じる心をどうか」と言われたことを思い出す。
そうだ、ユーに伝えるんだった。ミウロは、ユーの肩を叩く。
「ユー、アル神ていう神様から伝言だ。信じる心をどうか、って」
「ふーん、信じる心ねぇ。分かったけど、それが何か・・・」
すると、その話を聞いていた護り鳥が赤い羽をばたつかせて話に分け入ってきた。
『信じる、かい。あ、そうだった』
護り鳥は、すぐ側の机に置いてある走り書きのメモを足で引っ掴んで、『ほれ』とミウロに見せる。
[信じる心を取り戻せ]
「護り鳥も似たことを言われたか何か?」
メモを手に取る。護り鳥は、『ふふふふ』としたたかに笑みを、
『ふっふーふっふー!』
と浮かべた。
「あ、わかったわ!」
ユーがひらめいた。
第七話 腹巻き
「腹巻きをたくさんの人にあげていけば、そのうち引っかかるとは思うのよね」
腹巻きを顔に巻いて寝袋の中に入っているユーは、満点の星空を見上げていた。(ように見えるだけだが)
いろいろ話し合って、時間がすぎていたのだった。
ユーの案を聞いていたミウロも腹巻きを顔に巻いて、顔の全部を覆っていた。モゴモゴした声色で、
「ただ、みんな腹巻きを怖がってるぞ?」と言う。
「みんなで腹巻きを顔に巻いて、町を踊りながらねり歩くのは?!」
エルも顔全部を腹巻きで覆っていた。
『おい。今日は、まともな意見がまだ出てないぞい。あと腹巻きは、腹に巻くものだ!』
そう言った護り鳥も腹巻きを顔に巻いていた。
「お前もな!」
ミウロが、ツッコミを入れた。
夜がふけ、朝。ミウロは、いつのまにか寝てしまっていた。体を寝袋から出した。
エルとユーと昨日出会った女の子、ミオネはすでに起きていて、焚き火を作って囲んでいた。
「エル、おはよ。寒いな」
「おう!オレは暑いぜ?はずかしいぜ?」
エルのキャラが壊れている。
「ほらほら食べて、護り鳥様の手伝いしましょ!」ユーが、丸いパンをみんなに配る。
「それでさ、昨日オイラ達に見せてくれた紙って・・・」
エルが普通に戻った。護り鳥が、『ああ、それは』と言いかけた時、焚き火の炎がゴオッと強さを増す。ミウロはその炎をじっと見ていると、炎の剣が現れた。
『そんなに見つめないで♡』
割と野太い声である。
「お前、そういうキャラだったのか」
『ごほんほん。神界にいる神達からの伝言ですよん♩』
「あら、あなた、いい顔面してるわね?」
ユーが割り込む。どこに顔面があるのか。ミウロは、変なことを言うなと不思議がる。
『お、おおう。わっちの顔わかんのね?!』
「そうね、そこら辺でも見かけるわね。ファイヤーていう炎顔」
『そうか。ま、それは置いといてだ。ミウロ、わっちの力でここに来れたことをまず、感謝したまえ』
「そうだったな。炎の力だっけ。ありがとな」
『うむ。それで、伝言というのはだ、これから心がけることだよ』
「心がけることって?」
ミウロは、パンの最後の一口を口の中に放り込む。
「そうなのか、わかったぞ!」
「この国を雪の国から、解放するには・・・――」
ミウロの直感的な発言に、みんなが振り向いた。
