キューピットが恋しちゃダメなのに

「よしっ」



鏡の前でクルッとターンする。

今日は私がはじめて人間の学園に通う日だ。

ピンク色のブラウスの下、小さな羽がくすぐったそうに震えた。



「おい、準備できたか?そろそろ出るぞ」

「はーい!」



翔奏にならってドアから一歩踏み出す。

心臓がバクバクいってくる。

私の名前は愛内えな。

翔奏の親戚で、両親が出張している間だけ翔奏にお世話になる。

ひとりっこで、箱入り娘だったから世間知らず。

この設定はほとんど桜桃ちゃんが考えてくれた。

あの後私と桜桃ちゃんはすごく仲良くなった。

翔奏には可哀想だけれど、私は桜桃ちゃんといれればいいかなぁー。

でも苗字は翔奏が考えてくれたもので、1番のお気に入り。



「なんだよ。俺になにかついてるか?」

「ごめんごめん、なんにもな〜い!」

「ならいいけどよ。いこうぜ」



思わずじーっとみつめてた。

私のカバンはちゃっかり翔奏の肩にある。

そんな大きい背中を慌てて追いかけた。

𐐪𐑂⟡.· ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯ ⟡.·𐐪𐑂