もともと外にも父の子供がいると知っていたベリンダは、この子がそうなのかという純粋な好奇心で。メリーベルは、憎いだろう夫の庶子に対し、まさかそのような紹介をしてもらえるとは夢にも思わなかったから。
唖然とするメリーベルの前で、ダニィは「二人はよく似てるわね」としみじみ頷く。
メリーベルは全くそうは思わなかったけれど、はたから見れば二人は、髪と目の色をのぞけば姉妹だとはっきりわかるほど、よく似ているらしいのだ。
それからの展開はあまりに急すぎてよく覚えていない。
このときヴィクターと結婚が決まっていたベリンダには恋人がいて、なんと駆け落ち寸前だったこと。
そこに彼女そっくりなメリーベルが現れたことで、姉の代わりになぜか嫁ぐことが決まってしまったこと。
「これは仕事みたいなものよ、メリーベル」
そう言ってダニィは、報酬として弟を寄宿学校に入れてくれることを約束してくれた。弟は養父の子なので、メリーベルの父とは血のつながりはない。それでも「親戚の子」として迎え入れるという大盤振る舞いだ。
たとえメリーベルが離婚したとしても、卒業まで弟の面倒見るとの契約書まで交わせば、この条件を呑まない選択肢はなかった。
ヴィクターの結婚は、彼が事業を引き継ぐためにヴィクターの祖母が出した条件だったという。彼の妻になりたいと望む女性は多かったものの、たまたまヴィクターの初恋の人に面差しが似ているベリンダに白羽の矢が立った。
ロブソン家と縁をつなぎたかったダニィたちは大喜びだったけれど、ベリンダは逃げる寸前で、しかもお腹に新しい命まで宿っていた。顔色が悪いのはひどいつわりだったからだ。
それでもメリーベルからすれば身分違いの結婚。しかも全く知らない相手とのそれにしり込みするメリーベルに、事情を知ったうえで婚姻誓約書をもってきたヴィクターが、二つだけ条件を提示した。
三年だけでいい。
子どもができないよう白い結婚であることを誓う。
それは、三年経っても子供が出来なければ彼の祖母もあきらめるから、簡単に離縁できると見越しての事だった。
ヴィクターとしても初恋の相手 (だったかもしれない)ベリンダではないから、でも急いで都合のいい妻が必要だったから。
実父たちのほうも、彼の娘であるメリーベルを相手に差し出せば、約束をたがえたことにはならず、事業の提携も進むから。
両者にとって都合のいいところにひょいっと出てきたメリーベルは、まさにカモがネギをしょって登場といった感じだっただろう。
腹をくくって結婚してからは、事情を知る少数の使用人たちの協力も得て、ハリボテながらも妻を演じてきた。
楽しいことも幸せなこともたくさんあったことを考えれば、まさに「いい仕事」だったと言えるのだろう。
唖然とするメリーベルの前で、ダニィは「二人はよく似てるわね」としみじみ頷く。
メリーベルは全くそうは思わなかったけれど、はたから見れば二人は、髪と目の色をのぞけば姉妹だとはっきりわかるほど、よく似ているらしいのだ。
それからの展開はあまりに急すぎてよく覚えていない。
このときヴィクターと結婚が決まっていたベリンダには恋人がいて、なんと駆け落ち寸前だったこと。
そこに彼女そっくりなメリーベルが現れたことで、姉の代わりになぜか嫁ぐことが決まってしまったこと。
「これは仕事みたいなものよ、メリーベル」
そう言ってダニィは、報酬として弟を寄宿学校に入れてくれることを約束してくれた。弟は養父の子なので、メリーベルの父とは血のつながりはない。それでも「親戚の子」として迎え入れるという大盤振る舞いだ。
たとえメリーベルが離婚したとしても、卒業まで弟の面倒見るとの契約書まで交わせば、この条件を呑まない選択肢はなかった。
ヴィクターの結婚は、彼が事業を引き継ぐためにヴィクターの祖母が出した条件だったという。彼の妻になりたいと望む女性は多かったものの、たまたまヴィクターの初恋の人に面差しが似ているベリンダに白羽の矢が立った。
ロブソン家と縁をつなぎたかったダニィたちは大喜びだったけれど、ベリンダは逃げる寸前で、しかもお腹に新しい命まで宿っていた。顔色が悪いのはひどいつわりだったからだ。
それでもメリーベルからすれば身分違いの結婚。しかも全く知らない相手とのそれにしり込みするメリーベルに、事情を知ったうえで婚姻誓約書をもってきたヴィクターが、二つだけ条件を提示した。
三年だけでいい。
子どもができないよう白い結婚であることを誓う。
それは、三年経っても子供が出来なければ彼の祖母もあきらめるから、簡単に離縁できると見越しての事だった。
ヴィクターとしても初恋の相手 (だったかもしれない)ベリンダではないから、でも急いで都合のいい妻が必要だったから。
実父たちのほうも、彼の娘であるメリーベルを相手に差し出せば、約束をたがえたことにはならず、事業の提携も進むから。
両者にとって都合のいいところにひょいっと出てきたメリーベルは、まさにカモがネギをしょって登場といった感じだっただろう。
腹をくくって結婚してからは、事情を知る少数の使用人たちの協力も得て、ハリボテながらも妻を演じてきた。
楽しいことも幸せなこともたくさんあったことを考えれば、まさに「いい仕事」だったと言えるのだろう。



