「……私…ずっとユウカの物語ノート、読んだふりで返してたの」
ポロっとその言葉が口から落ちる。
「私…ユウカにはなにもかも劣ってる。だけど、本の執筆なら負けない自信があった。私のほうがたくさん本を読んできたから。でも突然……ユウカが、物語ノートを書き始めて……」
拳をギュッと握った。
「…怖かった。ユウカが私よりも……すごい作品を書いてたらって思ったら……っ」
涙が出そうになったが、それよりもユウカへの罪悪感が勝った。
彼女にいたたまれなくて、うつむく。
すると、本田さんが手提げバッグの中からなにかを取り出した。
「あ」
ユウカを殺した日に彼女に返した、物語ノート……。
「桜井さん、私もユウカに物語ノートを見せてもらっていたんです。事件があった日、彼女の部屋でこれを見つけて、まだ見ていない物語だったから、持ち帰って読んだ。そうしたら……1番最後のページに、これが」
本田さんが、そのページを開いて私に差し出した。
震える手で受け取り、たしかに書かれていた文字を追う。



