私が震える手でドアを開けると、どこか安心したようなお祖母ちゃんの顔がこちらをのぞいていた。
「下にいるの?」
「え? ええ、食堂に。亜衣ちゃんにお手伝いしてほしくて……」
お祖母ちゃんのお願いを最後まで聞かずに、私は必死になって食堂へと階段をかけ下りていった。
矢島くん。
矢島くん……!
私にはもうあの子しかいない。
一昨日はどうして私を置いて帰ったの?
どうして一緒に帰ってくれなかったの?
「亜衣ちゃん?」
食堂に飛びこむと、お祖父ちゃんのびっくりした顔……と全く知らないおじさんが目を丸くしていた。
「お祖父ちゃん、あの……お祖母ちゃんから矢島って」
「あ……ああ、こちら、矢島幹久さん」
白髪まじりの五分刈り頭が軽く上下する。今度は困ったような目が私を見つめていた。
「ルポライターをやってらっしゃる方でね、取材でこっちに……亜衣ちゃん?」



