そうだった。
どうして忘れてたんだろう。八日にはお客さんがやってくるから帰らないといけないんだった。一気に秋風屋が満員になるから、私の面倒を見ている時間はない。
「落ち着いたらまた来てねぇ」
「……うん」
顔を洗って作戦を立て直そう。
二人の申し訳なさそうな視線を背中に浴びながら、ゆっくりと洗面所まで歩く。この五日間でどうにもできなかったらどうしよう。他に試せる方法ってあるのかな。
洗面所の電気をつけて、蛇口をひねる。細長い鏡には光のない目をしたボブカットの女の子がいた。夜道で会ったら幽霊だと勘違いしそうな姿だ。
「やるしかない、わかってるでしょ」
自分に言い聞かせても浮かない表情のままだ。
ため息を一つついて、水を顔に当てた。冷んやりした感触に少しだけ気持ちがシャキッとしたような気分になる。
「とにかくネットで探そう」
タオルで拭いてもう一度鏡を見る。いくらかマシになった顔がそこにあった。



