私がうなずくと、見計らったようにインターフォンが鳴った。
「はーい」
お祖母ちゃんが早足で部屋を出ると、途端に静まりかえった空間になにかを忘れたようなむず痒い感覚が湧きあがる。
目は冴えていて、眠れそうにない。
羊の数でも数えてみようかと思ったけど、五十匹を超えたあたりで飽きてやめてしまった。
となると。
──あの頭痛は、読書感想文について話していたときに起きた……。
こうして体調不良の原因を考えてしまうのはどうしようもないわけで。
さっき倒れたときに話していたのは、私が矢島くんちにお世話になったときのことだ。
「あ……!」
ある事実に気づいて上半身を起こした。
そうだ、読書感想文を書くコツやお世話になった話も……。
「どうして記憶がないの……?」
矢島くんとの記憶を忘れてしまうはずがないのに。
自分の手をじっと見つめていると、ふと影が差した。
「え……」
逆光で見えない。
それでも女の子が窓を背にして立っているのはわかった。



