n回目のリフレイン




「俺はカメラマンになりたい」

「やっぱりね」


 矢島くんは写真部で活動してる。そこで自然や風景の写真を撮ってはコンテストに応募してるらしいけど、半年前に佳作になったぐらいで賞はまだとれていないという。


「賞があれば推薦もらえるんだけど……できなかったら撮影スタジオでバイトする」


 私はそっと横顔を盗み見る。

 石段の一番上に並んで座り、セミの鳴き声に囲まれた中で、形のいい鼻筋や日に焼けた頬はとても美しいものに見えた。


「柴田さんは?」

「私? 私は……都心の高校に行きたいな」


 夏休み前にクラスメイトが話していた内容をそのまま伝えた。

 本当はなにも浮かんでこなかったけど、矢島くんに正直に話すのは恥ずかしい。



 私にはなにもない。


 矢島くんは未来を見てる。



 そのあまりにも残酷な差に気づかないふりをして、サコッシュから水筒を取りだし麦茶を喉の奥に流しこんだ。