──それは恐ろしいし、緊張しますね。
矢島「ええ。ですが先輩にテレビ画面を指さされて、ようやくどうして連れてこられたのかがわかったんです」
──テレビでは具体的にどのような場面が報道されていたんでしょうか?
矢島「沖白の住宅街が真っ黒な波に飲み込まれていく場面でした。それから……通っていた高校が屋上ごとさらわれていくのを見て、ああ家族に連絡しなくちゃって思ったんです」
──現実感がまるでなかった感じでしょうか?
矢島「そうですね、一瞬……本当に一瞬だけ何も考えられなくて、自分の故郷が災害に襲われているのを見ても……どこか他人事といいますか……外国の災害映像を見ているような気になっていたんです」
──それは一種の防衛反応だったのかもしれませんね。
矢島「おっしゃる通りだと思います。自分の心を守るために、本能で感覚が麻痺していたんじゃないかな」



