──俺たちは他人だ。同じ想いを共有できるときもあれば、逆のときもある
好きだったキャラが、主人公と一緒に通路を走りながらどこか遠くを見る顔をしていた。
これがのちに伏線になって、主人公たちと別行動を取り過酷な戦いに身を投じる。そしてラスボスとの最終決戦で致命傷を与え、主人公のために活路を開く。
生死は……忘れてしまった。
その頃にはもうこのアニメに飽きてしまって、ネットの情報とかでなんとなく大筋を知る程度に落ちついてしまった。
ページをめくる手を止めて、雑誌を閉じる。これ以上読む気はどうしても起きなくて、矢島くんの作業が終わっていることを祈りながら目を向けた。
「矢島くん……寝てるの……?」
矢島くんは私に背を向けて寝転がり、なにも答えない。
「……」
私はそっと近寄って、彼の近くで同じように横になった。
静かだ。
セミの鳴き声も静けさに混じっている。
この穏やかな時間に身を任せるように、目を閉じた。



