目も合わせないで電車に乗ってしまったから、ちっとも思い出せない。
お父さんと話せているんだろうか。
忙しい人だしおしゃべりじゃなかったから、相談するにも緊張するし。
そもそも私とお母さんのことを家族だと認識してるのかも怪しい気がしてきた。
そこまで考えて、私はこめかみの部分をくるくるとマッサージした。せっかく矢島くんといるんだから、気持ちを切り替えよう。
ページをめくると、ちっちゃいときにリメイクされたアニメのキャラクターが扉絵をかざっていた。
ああ、このキャラ好きだったなぁ。
普段はグータラしてるんだけど、仲間のピンチには颯爽と駆けつけてきて敵を蹴散らしてくれる。
幼心にもかっこいいと心をときめかせていた。
懐かしさのままどんどんとページを進める。
このときの展開は、確か主人公がかつて救った人が敵になってしまって、さらわれたヒロインを助けようと敵の本拠地に突撃する回だった。



