緊張と暑さで口の中が乾く。心臓もドキドキして首筋に汗が流れた。
とうとう鳥居までやってくると、静かに一礼して階段のはしっこを登る。
一段、また一段と飛ばさずに黙々と足を上げる。丁寧に、失礼のないように。
……それにしても。
疑問が泡のように浮かぶ。
どうして“今”なんだろう。
民宿には何回か来ているけど、こうして神社に行ったのはちっちゃい頃だけだ。しかも一度だけ。
だけど、時間が巻き戻ったことは今まで一度もない。
視線を上に向ける。階段の終わりが見えてきた。
いい加減、あいさつに来ないから腹が立った……ということかもしれない。
昔話の海神も、女の子に言われて一度は村人たちを許そうとした。それを最悪の形で裏切ってしまったから、村は滅ぼされた。
でもこの神社にいるのは海童女命だ。彼女があいさつに来ないだけで怒るだろうか。
そもそもどうして久利畳なんだろう。ストレートに海童女命神社でいいような気がする。



