「ん―、好きというか、写真部」
矢島くんはカメラを調整しながら、何度かレンズに目を当てている。ずいぶん集中しているようだ。
確かにここならいい写真がいくらでも撮れそうだ。天気もよすぎるくらい晴れていて、絶好のロケーションなのは間違いなかった。
カシャ。
また音がした。
今度は足元にある流木を撮っていた。
「海は撮らないの?」
また聞くと、今度は少し間があった。
「昨日撮ったからいい」
「そういうもん?」
「そういうもん」
そっけない返事に集中したいのが伝わってきて、私は手持ちぶさたのままにふらっと波打ちぎわに近よってみた。
ザザァン。
ザァ……ン。
それにしても不思議だな。
白く泡立つ波を見ながらふと思う。
海は遠くから見ると青いのに、近くで見ると無色透明で青い色は一つもない。
太陽の赤い光を吸いとって青い光を反射してるからだ。とは習ったけど、やっぱり不思議だ。



