綺麗。
それだけを思う。
山を下りて数十分。海岸に着いた私は青い絶景に目を奪われた。
ちっちゃいときにも遊びに行ってたけど、いつ見ても綺麗だな……。
砂山作ったり、貝がら探したり、海に入って遊んだり。
大きくなってからは友だちと遊ぶのが楽しいし、日焼けしたくなかいからしばらく行ってなかったけど、やっぱりいいな。海。
カシャ。
突然、シャッター音が響いた。
「え? なになに?」
振りむくと、矢島くんの背中が見えた。
再びシャッター音。
「なに? 写真?」
後ろからのぞき込む。その手には古いカメラがにぎられていた。
「ああ、向こうの船撮ってた」
彼の指さす方向には打ち捨てられた……たぶん、漁船が三つ並んでる。
砂浜よりずっと高いところに置かれたそれは、ここからでもわかるくらいペンキがハゲていた。
「写真好きなの?」



