「お祖父ちゃん、これ荷台に乗せてね」
「お? おお、もちろん」
「見た目ほど重くないし、早く行こう」
このやり取りも何度めだろう。記憶と同じ反応に嫌になるのも嫌になって、あちこち塗装がはげた白い軽トラにパステルグリーンのスーツケースを乗せた。
さっさと自宅兼民宿に戻ってもらって、これからどうするか考えよう。
「お祖母ちゃん、ごちそう作って待ってるから急ごうな」
「うん」
「亜衣ちゃんが好きなパスタ作って待ってるから」
「うん」
ざらざらしたシートは、最初は居心地が悪かったけどもう慣れてしまった。お祖母ちゃんが作ったパスタという名前のスパゲッティも。
額にじんわりとにじんだ汗を拭う。セミの大合唱と、ぽつりぽつり見える民家にどこか変化はないかと目や耳の神経を集中した。
「亜衣ちゃん、着いたぞ」
「……うん」
ここまで同じ。少なくとも変わったところは一つもなかった。



