「わざわざ取りにきてくれたの?」
まさかこの神社でずっと待っていた……とは思えない。そしたらわざわざ水筒を取りにここに戻ってきたことになる。
「ああ、駐在所に届けようと思って」
水筒を手渡されながら聞くと、薄く微笑みながら答えた。
つまり、見知らぬ女の子の水筒を警察に届けるためにこの階段を登ったんだ。
「ほんっとごめん。マジで申し訳ない」
頭を下げる私を男の子は慌てて止めた。
「いいよ、俺が勝手にしたことだから」
「ううん、なにかお礼させて」
中学生だしあんまりお金がかかることはできないけど、このまま帰るわけにはいかない。
でも私ができることってなんだろう。お菓子やジュースをおごるとか……今なら夏休みの宿題を手伝うとか?
「いや、本当に好きでしたことだから……」
「そっちこそ気にしないで、なんでもいいよ? お菓子とかジュースとか、宿題手伝うとか」
私が頑固に主張すると、黒い瞳が瞬いた。



