ああ、大人だなぁ。それに比べて私は……と自己嫌悪しそうな自分を押しこめて、彼の顔を見上げた。
丸っこい瞳と、薄めで小さめの唇をしている。全体的に人懐こそうで、近所で飼ってる黒柴を思いだした。
寝ているときはミステリアスな感じがしたのになぁ……。
さっきの気恥ずかしさも忘れて、私はまじまじと相手の顔を見つめた。小顔で可愛い顔立ちしてるじゃない。うらやましくて腹立つ。
「あの」
「えっ」
困ったような声をかけられて変な声が出てしまった。恥ずかしがる間もなく、探していたものを差しだされた。
「これ取りにきたんだよね?」
「あっ……」
そうだった。
さっきまでずっと考えていたのに、熊だかハチだか不安になって、最後に彼を幽霊と勘違いして階段を落っこちそうになった。
それを助けられたばかりか、水筒まで持ってきてくれている。
申し訳なさでいっぱいいっぱいになったけど、ふと疑問がわいてきた。



