n回目のリフレイン




 夕方になってセミの声も落ち着いた時間帯、私は鳥居と階段の前で立ちどまっていた。


「……行かなきゃだよなぁ」


 うん。自分のならまだ諦められたけど、お祖父ちゃんの……民宿の水筒だし、ちゃんと持ち帰って洗わないと。

 そもそもあの子がいるはずない。こんな田舎だし、夕方だし、家に帰ってるでしょ。うん。


 自分に何度そう言い聞かせても、足は動いてくれない。


「う〜……」


 うなってしゃがんでもなにも解決しないのはわかってる。わかってるんだけど……。

 サコッシュに入れていたスマホが鳴る。出るとお祖父ちゃんからだった。


『亜衣ちゃん、今どこにいるんだい?』

「神社、水筒忘れたの」


 お祖父ちゃんが何か言う前に、お腹に力を入れた。


「どこに置いたかわかるし、見つけてすぐ帰るからね!」


 一方的に電話を切って、そのまま電源も切る。

 勢いよく頬を両手をはさんで、気合いを入れる。


「よし、行くか!」