──だから、さよなら。
ところどころ色が剥げたポストは、円柱に帽子を被ったような形をしてる。
手紙をサコッシュから出すと、その口に押しこんだ。
カタン、と軽い音。
空を見上げる。
相変わらず曇り空で、雨は降ってない。
これから晴れるのか、雨が降りだすのか。
スマホで確認しようとして、やめた。
切符を買って改札を通りすぎて、誰もいないホームでなんとなく電車が来るほうを見つめる。
……これで本当に帰れるのかな。
不安だ。何度も戻ってしまったし、当然と言えば当然ではある。
でも浮かんだ不安は消さずに向きあうことにする。
私自身が無意識に、ループする世界を望んだから起きてしまったことだ。
私の気持ち次第でまたそうなる可能性は十分にある。
それでも。
何度も見た車体が見えてきた。少し下がって止まってからドア横のボタンを押す。ドアが開く。
私は、明日を生きるんだ。
〈了〉



