『そう、わかった』
『それでね、転校はしないで今の学校通うよ』
『いいの?』
『いいの』
私がすぐに短く返すと、お母さんは少し考えこんでるみたいだった。
『わかった、最寄り駅に近くなったらまた連絡してね』
私は『OK』のスタンプを返してからサコッシュにスマホを入れた。
緊張した。
厄介ばらいみたいに、あのまま民宿に残されることになったらどうしようかと思っていたとこだ。
その場合、前の私だったらなんだかんだ文句言いながらホッとしていたかもしれない。
でも今は。
「亜衣ちゃん、それじゃ行こうか」
「うん」
シートベルトをしめるのと同時に、エンジン音がして車体が震えた。
サコッシュを膝の上に置いて、手紙が入っている大体のところをそっとなでる。
──あなたと一緒に過ごした日々は、今でも確かに宝物で。
──あなたがどう思っていても、私は友だちだと思ってる。



