サコッシュに入れた折りたたみ傘を出してみせた。
これは、小学生のときに茉耶とおそろいで買ったもの。
私は青と水色の玉模様で、茉耶は赤とオレンジの玉模様。
雨の日は休みでも、この傘を差して二人で外に出たっけ。
そんな思い出を昨日は夜までつづり、完成させてから矢島くんに別れを告げに行った。
矢島くんにはああ言ったけど、出すのはやっぱり怖くもある。
出しても、茉耶は受け取ってくれないかもしれない。
返事はないかもしれない。
ビリビリにされて戻ってくるかもしれない。
どんな結末になっても平気だ、なんて言える自信が私にあればいいんだけど。
「亜衣ちゃん、荷物は置いたかい?」
「置いたよ」
来たときと同じように、スーツケースを荷台に置いて助手席に乗りこんだ。
お母さんにメッセージを送るためにスマホを取りだす。
『お母さん、今お祖父ちゃんの軽トラに乗った』



