それでも。
それでも笑顔で、「ありがとう」と「さようなら」を伝えたい。
……なんだか卒業式みたいで笑ってしまう。
いやでも、あんまり間違ってはないかも。
この状況からの卒業、という意味では。
「私、明日には帰るんだ。だから……お別れを言いたくて」
「そっか」
「ずっと私を守ってくれてありがとう」
目をこすり、鼻をすする。
もっとこう……いい感じで綺麗にしたかったけど、現実はぐだぐだになってしまった。
茉耶のこともだけど、難しいな。
「違うよ。秋山さんは自分で、このままじゃダメだって気づいてた」
矢島くんの瞳はどこまでも優しい。
「だから俺は、少しお手伝いをしただけ」
「ううん、矢島くんが手伝ってくれなかったら、今ごろ私──」
どうなっていたんだろう。
気が狂っていたか。
それとも知らないうちに、地縛霊たちの仲間にされていたかもしれない。



