タイムリープからどう脱出すればいいかを考えていれば、茉耶への罪悪感から逃げられる。
そうだ、私は逃げたかった。
家から。
学校から。
……茉耶から。
この土地の地縛霊たちは、そこにつけ込んだ。
ううん。“つけ込む”とかじゃなくて、寂しいから仲間がほしかったんだ。
その気持ちは……少しだけ、わかる。
痛みや苦しみを共有する誰かといたい。
誰だってそう。
「そうだよね」
私は真っ黒な海に向かってつぶやいた。
海はなにも答えない。
波が打ち寄せる音だけ。
「矢島くん」
潮風が髪を乱暴になでた。
思わず目を閉じる。
「秋山さん」
目を開けた。
少しクセのある黒髪。
甘黒い瞳。
日に焼けた肌。
白い半袖シャツに黒いスラックス。
穏やかに微笑む彼がいた。
「いいの? こんな夜中に海に来て」



