シェヘラザードに捧げる物語




 それからはあれよあれよという間に話が進み、明後日の十二時にフレンチレストランで会食する予定が出来あがった。


「それでは失礼します」

『ええ、よろしくお願いします』


 通話を終わらせひと息つく……暇もなく、今度は照屋から電話がかかってきた。


「照屋、昼のことなら原嶋さんとは──」

『ついさっき君塚さんから連絡があって……』

「君塚さんから?」


 今にも泣きそうな震え声に遮られて、その内容に言おうと思っていた原嶋さんとの連絡は頭からすっ飛んでしまった。


「君塚さんは何て?」

『美咲との復縁に協力しろって……』

「そうか……」


 そもそも二人が出会った切っ掛けが、君塚さんの父親が照屋の担当だったことに起因している。遺産相続について相談するために二人でやってきたところ、当時はアルバイトとして雑用をこなしていた彼女と出会った。

 そこから交際が始まり、彼女が就職先に慣れてきてからのゴールイン……だったはずが、あの大惨事だ。