シェヘラザードに捧げる物語




 ただ“原嶋さん本人が”そう望むなら、の話だ。


『根も葉もない噂を流される余地もなく、徹底的にお願いします』

「そうですか、でしたら二人で計画を立てたいのですが……?」

『美咲は身体が弱いんです、ましてあのような恥をかかされて……どうかあの子の心労を慮ってはくれませんか?』


 その割には二人きりで食事をさせようとするんだな。

 口をついて出そうな台詞を飲み込んだ。頭の中でひらめいたアイデアを実行するために。


「では慰労を兼ねて二人で昼食はいかがでしょう? 無理ならお茶でも──」

『では場所はこちらで手配します』


 前のめりになって即答する様子に、俺は思わず閉口してしまった。


『明後日はどうですか? 美咲はフレンチが好きなんですが、大賀さんはお嫌いなものやアレルギーなどは?』

「ありません、明後日の昼なら大丈夫です」

『でしたらあとで地図をお送りします、十二時に予約させていただきますね』