シェヘラザードに捧げる物語




 ソファーに座ってテレビをつける。ニュース番組、バラエティ、ドラマ、時代劇──順番にボタンを押していって、動画サイトで手を止めた。

 一番上に出てきた芸能人のゲーム実況動画を選んで再生する。化粧品の広告が流れてから、朗らかな調子でゲームの紹介が流れた。


『こちら、一人だけウソ言ってるやつを見抜いて真相を当てるという推理ゲームで──』


 今度こそキッチンまで歩き、ポットで煎茶を淹れる。ゆらゆらと立ち昇る湯気を視界に入れながら、後ろから聞こえてくる実況の音声がやけに耳についた。



 別に嘘をついたわけじゃない。


 嘘と何が違う。



 ソファーに戻って、ローテーブルに置いたスマホを手にしようとして──テレビのリモコンをつかんだ。

 二回ボタンを押してテレビの音量を下げる。にぎやかな突っ込みはほぼささやき声になった。


「違うでしょ……」


 掠れた呟きがぽとりと落ちた。


「言わないと」