シェヘラザードに捧げる物語




 このままでは原嶋さんに連絡しても、ご両親が出てくるだろう。謝罪もご両親を通して受け取ってもらうことになる。

 それはちょっと違うよなぁ……。

 私はあれからマンションの自室でスマホを片手にソファーでゴロゴロしていた。どう連絡すれば彼女と直接話せるのか、悩んでも悩んでも解決策は出てこない。

 スマホをローテーブルに置いてキッチンに向かう。飲みものでも作って休憩すれば、いいアイデアが浮かぶ……ことを祈ろう。



 ヴー……ヴー……。



 冷蔵庫を開けると、スマホが低くうなった。

 急いで戻って、スマホの画面を確認する。



 え……。



 慌てて通話ボタンをタップした。


『もしもし、原嶋です』

「はい、柴田です」


 我ながら落ち着いて応答できたと思う。


『あの、今大丈夫ですか?』

「はい、原嶋さんは大丈夫ですか?」


 いや、大丈夫だから電話したんでしょうよ。

 心の中で自分に突っ込みを入れる。けれど『十分だけなら平気です』と原嶋さんの返答に、状況は芳しくないことを知った。