私はギョッとしてグラスに伸ばした手を止めた。
「そんなこと言ってるの?」
「二人は原嶋さんの職場にも辞めると連絡したそうだ」
「それで、その……職場の人は……」
「本人と話したいと言われたんだが、娘の負担になるからできないと突っぱねたそうだ」
「それは……それ以上強くは言えないね」
披露宴には原嶋さんの職場の上司や同僚の人たちも多く参加していた。あの修羅場を見てしまっては気をつかうしかないだろう。
「職場に確認したんだが、今のところは休職扱いにしていると教えてもらった」
「苦肉の策か……」
うつむいて黙り込んでしまった私をどう思ったのか、大賀くんは視線を自分の皿に落とした。
「悪いな、愚痴みたいになって」
「ううん、平気」
それより、と私はフォークを手にした。
「急いで食べよ。大賀くん仕事まだあるでしょ」
「……ああ、そうだな」
それからは会話もなく、昼食を平らげたあとは何となく気まずいままその場で別れてしまった。



