シェヘラザードに捧げる物語




 もしかしたら体調を崩しているのかもしれない。


「照屋もその件でさっき来たんだ」

「会ってくれないって?」

「ご両親から門前払いくらうらしい」


 大賀くんはフォークを置いて目を伏せた。


「俺ともご両親を通してしか話してくれない」

「それは……厄介だね」


 だけどご両親の気持ちもわかる。全ては傷ついた娘のためだ。

 問題はこの過保護っぷりが、騒動が終わっても続くんじゃないかという不安だ。


「できるなら俺は……原嶋さんから直接会って話を聞きたい」

「そう、だね……一番の当事者は原嶋さんだもんね」

「ご両親にもそれとなく聞いてみたんだが……娘の気持ちは親である自分たちが一番わかってる、の一点張りで……」


 ああ、予想はできていたけどそうなってしまったか。


「……悪い人たちじゃないんだけど……」

「わかるよ。大事に育ててきた娘を最悪の形で傷つけられたんだ」


 でも、と大賀くんは続ける。


「仕事を辞めさせて信用できる人に嫁がせるのは違うだろ」