シェヘラザードに捧げる物語




「そっか、だから今まで会えなかったんだね」

「世の中なんて大体そんなもんだ」


 大賀くんの言葉に相槌を打つ。意外なところから知り合いに繋がったりするから世間は思うよりせまい。


「それで……原嶋さんのことだけど、私個人への連絡はないし、ホテルも休んでるからわからないんだ」


 大賀くんに「今からホテルに連絡しようか」とバッグを開けると、「いや大丈夫だ」と手で制止された。

 私のスマホには原嶋さんの番号が入っている。連絡を取ろうと思えば取れるけど、現状ではそれははばかられた。

 結婚が台無しになったのだから、一介のウエディングプランナーに連絡している暇はないだろう。むしろこのまま連絡もなしに事は終わるかもしれない。

 ……いや、その可能性が高い。


「ホテルにも連絡してないらしくてな……ご家族以外とはろくに話もできてないんだ」

「そう……」


 それはそうだ。幸せの絶頂にいたと思ったら、不幸のどん底に突き落とされたんだから。