シェヘラザードに捧げる物語




 このまま食べておしまいかな。

 もうちょっと話していたかったな。


 そんなことを考えながらキノコを口に運んでいたら、ふとテーブルに影が落ちた。


「大賀ぁ……」

「照屋!?」


 丸っこい頬と目をした男性がそこにいた。

 ひどい涙目になって。


「どうしてここに!?」


 ……どうやら大賀くんの知り合いらしい。


「頼む! 助けてくれ!」

「ちょ……ちょっと待て、落ち着け!」


 周囲の人たちから何事かと視線がチラチラと送られる。照屋と呼ばれた男の人は、大賀くんの肩をガシッとつかんで何やら懇願を始めて……。

 私は何を見せられているんだろう。


「大賀くん、一度外に出て話してきたら?」


 とにかくこのままじゃまずい。

 そう思って提案すると、大賀くんは「ありがとう、すぐ戻る!」と言い放って照屋さんと大急ぎで外に出ていった。


 なんだか嵐のようだったな。


 名字で呼び合って、親しげな感じだったけど友人……でいいんだろうか。