シェヘラザードに捧げる物語




 私は速度をさらに落として耳をそば立てた。なかなかにいいご趣味だと自分でも思う。

 思うけど、「これ結婚式の話だ!」とピンときてしまったが故の職業病だから仕方ない……と自分に言い訳をしながらちょっとだけ二人に近付く。


「駆け落ちで式が挙げられなくて、落ち着いてからも色々あったからね。みんな思うところがあるんでしょ」

「お祖父ちゃんは今さらとか言ってたけど、私ら孫がみんなでお願いすれば一発よ」


 ……なるほど、年をとってからの挙式か。

 結婚式や披露宴というと、若い二人のためだけのものだと考える人は多い。パンフレットやチラシに載るのも若い男女がほとんどだ。

 もっとこう……シニア世代にも目を向けていくべきなのかもしれない。思わぬ金脈が眠っていたりすることもあるし。

 そもそも、ドレスとタキシード着て写真撮るだけのフォトウエディングとかいう安上がりなプランが人気になってるし……。