シェヘラザードに捧げる物語




 総合病院から出ると、綺麗な青空が広がっていた。伸びをして同僚や上司は大丈夫だろうかと不安が過ぎる。

 いやいや一週間は安静にしてないと……でもちょっと覗くくらいなら……。

 悩みながらバス停までの遊歩道をゆっくり歩く。

 少しだけ肌寒い平日の午前中。散歩中の老夫婦やジョギングに励む女性、犬を連れた男性がちらほら見えて、それなりに賑わっていた。

 こんな穏やかな光景なのに、どこか自分だけ置いてけぼりにされたような気分になる。どうしてだろう。やらなきゃいけないことはいっぱいあって、そんなセンチメンタルな気分に耽っている場合じゃないのに。


「お姉ちゃん、プレゼント何にした?」

「ブックカバーと時計、お母さんは?」

「料理に決まってるじゃないの」


 唐突に会話が聞こえてきて、視線をチラリと向ければ遊歩道沿いのベンチに女性が二人座っていた。


「待って、メール……おじさんたち参加するって」

「結構集まるわねぇ」