シェヘラザードに捧げる物語




 柴田は俺が脳内で身悶えているのも知らず表情を強張らせていた。俺は自分を落ち着かせようと鼻の頭をポリポリとかいて、視線を窓の辺りでうろつかせた。この絶好のチャンスを逃すわけにはいかない。


「もしも、何とも思ってない奴から告白されたらどうする?」


「え……?」


 言ってから後悔した。いきなりわけのわからない質問をされた柴田の身になるべきだった。


「その、それは……“付き合ってほしい”的な意味でいいんだよね……?」


 柴田は俺の意味不明な質問にも真摯に対応してくれた。ありがたい。


「そう」


 俺は素っ気なく答えて目を逸らした。いや、そうじゃないだろう。返答次第では失恋確定だからって柴田に失礼すぎる。

 何とも思ってない俺から告白されたとして、柴田は受け入れてくれるかを知りたいんじゃなかったのか。

 イエスならとんでもないチャンスだ。ノーなら……どうしよう。

 柴田は一瞬だけ考え込むと、おもむろに口を開いた。