シェヘラザードに捧げる物語

 


 大賀くんは鼻の頭をポリポリとかいて、視線を窓の辺りでうろつかせた。まずい、やっぱりバレて……。


「もしも、何とも思ってない奴から告白されたらどうする?」


「え……?」


 いきなりの情報に脳が処理しきれない。え、今、大賀くん、告白って言った?


「その、それは……“付き合ってほしい”的な意味でいいんだよね……?」


 いや何を訊いてんの、私。そんなの──


「そう」


 ──普通はそうに決まってるじゃんか。

 ほら、大賀くん、私と目も合わせてくれなくなっちゃった!

 私はどうにか挽回しようとして、あまり使っていない頭脳をフル回転させ、どんな回答が最適解かを弾き出そうとした。

 これは場合によってはとんでもないチャンス、絶対に失敗するわけにはいかない。

 私は一瞬だけ考え込むと、おもむろに口を開いた。


「断る、かな」

「……そっか」

「正直なこと言うと、友だちにもなれないと思う」