シェヘラザードに捧げる物語




「それで今日はお一人なんですね」

「小さなことかもしれませんが、積み重ねて自信をつけたいんです」


 私はいやいや、と首を振った。


「一番大事じゃないですか、そういうの」


 小さなことからコツコツと。たとえ目標や目的が達成できなかったとしても、その経験は無駄になったりはしない。

 本人も思ってなかったところで役に立ったり、「自分はここまで努力できた」と自信にもつながる。


「ありがとうございます……いい年して、親離れもこれからなのに」

「お身体が弱かったんですよね? それにご両親からすれば大切な一人娘でしょう?」


 私がご両親の立場だったら絶対に打ち合わせのたびにくっついていくと思う。

 正直に伝えると原嶋さんに苦笑されてしまった。


「父と母も一人で行かせない、ついていくって聞かなかったです」

「どう説得なさったんですか?」

「一時間ごとに連絡すると約束してきました」