シェヘラザードに捧げる物語




「はい、真岡主任が落ち着くよう声をかけてました」

「具体的な内容は覚えていらっしゃいますか?」

「……落ち着いて、とか……また後日にしましょう、とか……」


 主任……私に電話代わってる場合じゃなかったんだ……。


「それで、他に行動なさった方はいますか?」

春日野(かすがの)さんが君塚さんのご親族を連れてくるって退出しました」

「ご親族を連れてくるまでに、何か行動しましたか?」

「柴田さんから連絡がきたので、それに対応しました。そのときに君塚さんのお父様がいらして……」


 そこで川島さんはため息をついた。


「君塚さんをボコボコにしだして……」

「ああ……」


 私と大賀くんはため息のような声を漏らした。電話越しに聞こえた騒ぎはそういう……。


「主任に他のスタッフさんも呼ぶように言われて、電話を代わったんです」

「そうでしたか……」

「それで、呼びに行くときに君塚さんに捕まって……腕を噛まれて……」