シェヘラザードに捧げる物語




 結園は日常に戻り、私たちスタッフは通常業務をこなせるまで回復した。

 スタッフルームはそうもいかなかったけど……。


「この際だから全部新調しません?」

「いっそ改装しますか、ホテルの金で」


 春日野さんの提案に、私も軽口をたたいてみせた。


「二人とも、ふざけてる場合じゃないですよ」


 川島さんが私たちをたしなめて、手元のメモに書き込む。


「まだ使えそうなものは使わないと」

「使えそうなのねぇ……」


 私たちはざっとスタッフルームを見渡した。

 ある程度は片付けたとはいえ、復元までにはほど遠い。

 君塚さんが暴れまくったせいでボロボロになった備品は、まだ使えるものと廃棄するものに分けるために私たち三人が調べている。


「騒ぎには慣れてるつもりだったけど、ここまでされたのは初めてだな……」


 春日野さんの雑談ともひとり言ともつかない呟きに、私はペンの束を差し出した。