シェヘラザードに捧げる物語




「フォローに慣れてる感じがしたんですけど、それでなんですね」


 私の相づちに、彼女は「ああ」と少し疲れたような笑顔を返した。


「その……うちの会社は人間関係のトラブルがやたらと多くて……」

「……うちも似たようなもんです……」


 やっぱり、と私は心の中で頷く。

 何というか……彼女たちから同じような空気を感じていた。

 結園が特殊なんだと思ってたけど、似たような職場がこの世に存在している。

 その事実に感動を覚えそうになって、そんな職場はないほうがいいと思い直した。


「うちだけじゃなかったんですね……」

「結園はお客様同士のトラブルが多くて……そのせいで怪我する人もいて……」

「怪我、ですか?」

「入院するような大きなものではないんですけどね……」

「うちはこう……精神的に折れてしまう人が多くて」


 それからお互いに自分たちの職場の愚痴大会になってしまい、すっきりしたけどしばらくは微妙な気分だった。